大和日英基金
Why is it significant?
リージェンツ・パークの南側に平行して伸びる美しい白亜の連なり、コーンウォール・テラス。その十三番地と十四番地に位置するのが、「大和日英基金」、別名「ジャパンハウス」です。目の前に広がる庭園の緑と、完璧な対称性を誇るギリシャ風のイオニア式コラム、エレガントな装飾壁。一見するとロンドンの歴史ある最高級住宅地そのものですが、ここはまさにイギリスと日本を結ぶ、最も格調高い文化と学術の交流拠点となっています。 この建物が作られたのは千八百二十年代のこと。当時の摂政皇太子、のちのジョージ四世によるロンドン改造計画の一環として、王室建築家ジョン・ナッシュの監修のもと、天才建築家デシムス・バートンが設計を手…
Key Facts
| Place | 大和日英基金 |
|---|---|
| Address | 13-14 Cornwall Terrace, London NW1 4QP |
| Geo Coordinates | 51.52368, -0.15632 |
| Audio Duration | ~4 min |
| Part of Walk | ロンドンで巡る日本の歴史と文化散歩 |
| Generated | Generated |
Photo: Google
リージェンツ・パークの南側に平行して伸びる美しい白亜の連なり、コーンウォール・テラス。その十三番地と十四番地に位置するのが、「大和日英基金」、別名「ジャパンハウス」です。目の前に広がる庭園の緑と、完璧な対称性を誇るギリシャ風のイオニア式コラム、エレガントな装飾壁。一見するとロンドンの歴史ある最高級住宅地そのものですが、ここはまさにイギリスと日本を結ぶ、最も格調高い文化と学術の交流拠点となっています。
この建物が作られたのは千八百二十年代のこと。当時の摂政皇太子、のちのジョージ四世によるロンドン改造計画の一環として、王室建築家ジョン・ナッシュの監修のもと、天才建築家デシムス・バートンが設計を手掛けました。洗練されたネオ・クラシック様式の邸宅群は、英国政府の第一級保存建築、グレード・ワンにも指定されている貴重な文化財です。
しかし、このクラシックな英国建築の扉の奥には、日英交流の歴史を彩る驚くべき物語が隠されています。
今から百箇年以上も前、千八百八十五年から千八百九十三年にかけて、この十三番地の邸宅に誰が住んでいたかご存じでしょうか。
それは、ロンドンを代表する老舗百貨店「リバティ」の創業者、アーサー・ラセンビィ・リバティ男爵でした。彼は千八百六十二年のロンドン万国博覧会で展示された日本の伝統工芸品や浮世絵、陶磁器の繊細な美しい技法に深い衝撃を受け、たちまち日本美術の大ファンとなりました。その後、彼は東洋の美術品や織物を扱う店を開き、イギリス社会に「ジャポニスム」と呼ばれる日本ブームの旋風を巻き起こしたのです。さらに千八百八十九年には自ら日本へ旅し、各地の職人や芸術家と交流を深めました。日本文化を英国に広めた立役者の住まいが、時を超えてまさに日本の文化交流の場となったことには、深い歴史の必然を感じずにはいられません。
大和日英基金は、千九百八十八年に日本の大和証券からの寄付をもとに設立された英国の慈善団体です。千九百九十三年にこの歴史的な建物の借地権を取得し、丹念な修復作業を経て、千九百九十四年七月、当時の英国外務大臣ダグラス・ハードらの出席のもと、「大和ジャパンハウス」として華やかに開館しました。
ここで行われている最も重要な取り組みの一つが、未来を担う人材を育てる「大和奨学金」プログラムです。
毎年、学術、芸術、科学など多彩な分野から、将来を期待されるイギリスの優秀な大学卒業生たちが選抜されます。選ばれた奨学生たちは、二十ヶ月間にわたって日本に滞在し、東京での過酷な日本語集中学習や、日本の家庭でのホームステイ、現地企業や研究機関でのインターンシップを経験します。日本語をまったく話せなかった若者たちが、日本社会の深層に触れ、真の日本理解を深めて帰国するのです。これまで多くの奨学生がここから羽ば